求人媒体の限界と、届いていない“本当に欲しい人材”
多くの企業が求人媒体を活用していますが、そこで出会えるのは「今すぐ転職したい」と考えている人材に限られます。しかし、実際に企業が本当に欲しているのは、“転職潜在層”とも呼ばれる、「良い会社があれば転職を考えてもいい」と感じている人々ではないでしょうか。彼らはまだ転職サイトには登録しておらず、求人検索もしていないため、従来の採用チャネルではアプローチできません。
こうした人材にアプローチし、企業との接点を築ける手段として注目されているのが、InstagramやTikTokといったSNSを活用したソーシャルリクルーティングです。
応募していない=無関心ではない
「今すぐ応募していない人材=興味がない人材」ではありません。実際には、日々の仕事に忙殺されつつも、自分に合った企業があれば転職してみたい、という漠然としたニーズを持っている層は少なくありません。彼らは求人媒体には姿を現さないものの、SNSでは日常的に企業アカウントをチェックし、企業の雰囲気や働く人の姿に“気づき”や“共感”を得ています。
この層に自然にリーチし、印象を残していくことが、将来的な応募へとつながる鍵なのです。
SNSは潜在層との関係性を築く最適なチャネル
SNS、とくにInstagramやTikTokは、企業のリアルな姿を日常的に伝えられるメディアです。職場の雰囲気、社員の声、1日の仕事の流れなど、文章では伝えきれない情報が、写真や動画を通じてダイレクトに伝わります。
「どんな人が働いているのか」「どんなカルチャーを大事にしているのか」――こうした情報を自然に届けることで、応募の前段階での信頼関係や親近感が醸成されていきます。
応募に至るまでの“関係構築”がカギ
今すぐの応募はなくとも、SNSでの接点を通じて「この会社、なんか好きかも」「ここで働いてみたいな」と感じてもらえる土壌をつくることが、ソーシャルリクルーティングの価値です。実際に、半年・1年フォローしていた人が、ある日「求人を見て、迷わず応募しました」となるケースも増えています。
このような“指名応募”は、ミスマッチが少なく、定着率も高い傾向にあります。企業理解が進んでからの応募だからこそ、採用後のパフォーマンスにもつながりやすいのです。
未来の人材との関係を育てる採用戦略へ
今すぐ応募のある「顕在層」だけを対象にした採用から、まだ動き出していない「潜在層」との関係性を築く採用へ。これこそが、今後の企業に求められる採用戦略の大きな転換です。
求人媒体では出会えない人材に、SNSを通じて「企業の魅力」を届け、自然な関係性を育てていくことで、将来の戦力となる優秀な人材と出会えるチャンスが広がります。
ソーシャルリクルーティングは、即効性こそ限定的かもしれませんが、「つながり続けること」そのものが企業の人材資産となる、極めて戦略的なアプローチなのです。