円安の継続や大型国際イベントを背景に、訪日外国人観光客の需要は再び拡大しています。その一方で、「英語で投稿しているのに反応が薄い」「フォロワーは増えても来店や利用につながらない」といった声も多く聞かれます。
この背景には、旅行者の情報収集行動とSNSの役割そのものが変化しているという構造的な要因があります。従来のやり方を丁寧に続けているだけでは、成果に結びつきにくくなっているのが現状です。
本記事では、インバウンド集客においてSNSがどのように変わったのかを整理し、企業のSNS担当者が押さえるべき実践ポイントを解説します。
翻訳中心の運用が限界を迎えた理由
結論として、インバウンド向けSNS運用では「何語で書くか」よりも「何が伝わるか」が重視されるようになっています。短尺動画を中心とした現在のSNS環境では、視覚情報の比重が高まり、言語情報の役割は相対的に低下しています。
多くのプラットフォームでは、動画や画像の内容そのものが解析され、言語に依存せずにレコメンドが行われます。その結果、丁寧に翻訳された説明文よりも、体験の魅力が直感的に伝わる映像の方が反応を得やすくなっています。
翻訳は不要になったわけではありませんが、運用の主軸は言語対応からコンテンツ設計へと移行しています。視覚や音によって疑似体験を提供できるかどうかが、成果を左右する要素になっています。
SNSが検索行動に組み込まれた影響
次に重要なのは、SNSが発見の場であると同時に検索の起点になっている点です。海外の旅行者、特に若年層は、検索エンジンより先にSNS上で場所や体験を探す傾向があります。
このとき、投稿内容だけでなく、その先の行動導線が整っているかが重要になります。位置情報が不明確だったり、プロフィールから場所が特定できなかったりすると、興味を持たれても行動にはつながりません。
成果を出しているアカウントでは、投稿と地図情報が自然につながるよう設計されています。SNS上での発見から、保存、来店までを一連の流れとして捉えることが、インバウンド集客では欠かせません。
公式発信よりもUGCが信頼される理由
インバウンド市場では、情報の信頼源が企業から利用者へと移っています。旅行者は、整えられた公式写真よりも、実際に訪れた人が撮影した投稿を重視します。
そのため、企業がすべきことは「自分たちが語ること」だけではありません。来店や利用の体験そのものを、自然に共有したくなる環境を整えることが重要です。
UGCが増えることで、SNS上の言及が広がり、検索やレコメンドの文脈でも評価されやすくなります。結果として、広告に依存しない形での認知と集客が可能になります。
まとめ
インバウンド集客におけるSNS運用で押さえるべきポイントは以下の3点です。
・言語対応よりも、視覚的に体験が伝わる設計を重視する
・SNSと地図情報を連動させ、行動導線を明確にする
・公式発信に偏らず、利用者の投稿が生まれる環境を整える
まずは、自社の投稿が「発見」から「行動」までつながっているかを確認してみてください。その見直しが、インバウンド向けSNS運用を改善する第一歩になります。


















