SNS運用を内製化する企業がここ数年で一気に増えてきました。背景には、プラットフォームのアルゴリズム変化、ショート動画の普及、生成AIの進化による制作工程の効率化など、運用環境そのものの変化があります。これらは外注だけではスピード感の面で対応しにくく、企業自らが改善を素早く回す価値が高まっています。そのため広報やSNS担当者にとって、「どこまで自社で行い、どこから外部と組み合わせるべきか」を判断する必要性が以前よりも大きくなっています。
SNS内製化の核心は日々の仮説検証サイクルにある
SNSを内製化する最大のメリットは、小さな改善をすぐ反映できることです。短期間で企画を出し、投稿し、反応を見て調整するサイクルを繰り返すほど成果につながりやすくなります。とくにショート動画は反応の変化が早いため、スピードが遅い運用ほど伸びにくい傾向があります。担当者の気づきをその日のうちに反映できる柔軟さは内製化ならではの強みです。
一方で、すべてを自社内で完結させようとすると負荷が大きくなりがちです。運用ルールやガイドライン、クリエイティブの型が整っていない状態では、改善サイクルが属人的になり、継続するほど差が出てしまいます。海外では、運用の基盤となる部分を外部に設計してもらい、日々の投稿や検証は自社で回す「ハイブリッド型」が浸透しています。日本でも参考になるアプローチです。
内製化すべき領域と、外部支援に任せるべき領域の分岐点
内製化したほうが良い領域は、ブランド理解や日々の顧客接点に近い部分です。
例えば、
・日常的な投稿案
・社員紹介・サービス紹介の企画
・オフィスや現場の何気ない動画撮影
などは、担当者自身が最も細かいニュアンスまで把握しています。外注では再現しづらい“自社らしさ”が出る領域は、自社で担うほうが自然です。
一方で、戦略設計や分析、ガイドライン整備のように高度な専門性が必要な領域は、外部支援と組み合わせたほうが効率的です。
2024年以降、AIツールの選定、KPI設定、プラットフォームごとのアルゴリズム理解は複雑さを増しており、担当者が全てを追い続けるのは現実的ではありません。基盤部分を外部に任せることで、内製化のスピードと精度が両立しやすくなります。投稿テンプレートや分析フォーマットなど、一度つくれば繰り返し使える資産を整えることで属人性も下がり、担当者の負担も軽くなります。
成果を出し続ける企業が実践するハイブリッド型内製化の特徴
・成果が安定している企業にはいくつか共通点があります。
・そのひとつが、「内製化と外部支援の割合を固定しない」ことです。
・SNSは半年単位でトレンドが変わるため、運用体制も定期的に調整しなければ最適化されません。
例えば、
・投稿制作は内製
・月次の分析だけ外部へ依頼
という形があれば、
企画立案だけ外部と共同し、撮影・編集・投稿は自社で担当というケースも増えています。
生成AIの普及で、担当者ができることは広がりましたが、その反面「全体設計」の重要性は以前より高まっています。内製化すればスピードは出ますが、品質を維持する難易度も上がるため、外部の視点を定期的に入れることで偏りを防ぎやすくなります。こうした仕組みが、ハイブリッド型が主流になりつつある背景にあります。
まとめ
・内製化の強みは、改善サイクルを自社で素早く回せる点にある。
・外部支援を組み合わせることで、専門性の高い領域や運用基盤の負担が減る。
・内製化と外注のバランスは固定せず、目的と体制に応じて調整することで、スピードと品質を両立しやすくなる。





















