近年、日本では連絡手段といえば、メールよりも電話よりも「LINEを使う」という人が増えてきています。2018年の調査ではLINEの利用率はインターネットユーザーのうち約80%と、パソコンやスマートフォンを利用している人のほとんどが利用しているというデータもあります。しかし、そんな爆発的なユーザー数を誇るLINEですが、海外ではほとんど浸透していません。なぜなのでしょうか。
■日本でこれほどまでにLINEが普及した理由
日本にLINEが登場した2011年には東日本大震災があり、「災害時には電話やメールがつながらなかった」という体験をした人が多くいました。そんなタイミングで登場したLINEは、電話よりも災害時であってもつながるのではといった安心感や、震災により「人と人のつながりをもっと大切にしたい」と考えていた日本人にマッチしたと考えられます。さらに、2011年はFacebookなどのSNSが加速度的に普及してきたタイミング、かつスマートフォンが普及してきたタイミングでもあります。SNSで大勢とやりとりをすることが増えるにつれ、次第に「1対1でももっと話をしたい」というニーズが高まってきたこともヒットの後押しとなりました。
■各国では利用されているメッセージアプリが異なる
現代日本にこれほど浸透しているLINEですが、世界ではほとんど使われていません。なぜでしょうか。各国の主に使用されているメッセージアプリを見てみましょう。
・日本→LINE
・韓国→カカオトーク
・中国→WeChat
・アメリカ→Facebook Messenger
それぞれの国ごとに開発されたものを使用している印象があります。LINEは韓国企業のイメージもありますが、多国籍メンバーにより日本のために開発されたサービスです。やはりアプリが利用されることを想定し開発された国のものが一番使いやすいのかもしれません。
そして、特筆すべき点は、サービスの近似機能にあります。各国で使われているチャットアプリはどれもその母体機能は同じです。デバイスを問わない・登録がアドレスだけ・匿名性のレベルが違う。などの差異はあれど、ベースの機能面において大きな違いはありません。
いつの世もコミュニケーションツールは「みんなが使っているもの」が最も強い吸引力を持ちます。
Twitterとインスタグラムなど、サービスそのものに何かしらの利用価値の違いがなければ、一度市場をとったサービスから移行する理由がなく、市場成長は望みにくいのかもしれません。