近年、企業のSNS運用において、外部委託から社内運用、いわゆる内製化へと舵を切る動きが加速しています。背景には、ショート動画を中心としたアルゴリズム変化や、広告色の強い発信が敬遠され、企業の中の人によるリアルな情報発信が求められるようになったことがあります。
一方で、内製化に踏み切ったものの、担当者の負担増、投稿品質のばらつき、炎上リスクへの不安から、運用が停滞してしまうケースも少なくありません。成功している企業は、ツール選定や制作体制に入る前に、内製化の前提となる設計を明確にしています。本記事では、SNS内製化を成果につなげるために、最初に決めておくべき三つのポイントを整理します。
目的と成果指標を判断レベルまで具体化する
SNS内製化で最初に定めるべきは、運用の目的を成果指標まで落とし込むことです。フォロワー数の増加を目標に掲げる企業は多いですが、フォロワー数はあくまで中間指標に過ぎません。企業としてSNSに時間と人員を割く以上、最終的にどの成果に寄与するのかを明確にする必要があります。
例えば、認知拡大が目的であればリーチや再生数、採用であれば視聴維持率やプロフィール遷移、顧客との関係構築であればコメントの質や継続的な反応が重要になります。目的と指標が曖昧なままでは、投稿の良し悪しを感覚で判断することになり、改善の軸が定まりません。内製化とは、作業を自社で行うことではなく、成果に至る判断を自社で持つことだと捉える必要があります。
属人化を防ぐ運用体制と改善の考え方を共有する
二つ目のポイントは、属人化を前提にしない運用体制を設計することです。SNS内製化の初期段階では、特定の担当者の熱量やセンスに依存しがちですが、この状態が続くと担当者の異動や退職と同時に運用が止まります。
重要なのは、投稿内容そのものではなく、なぜその企画を選び、なぜ改善するのかという判断プロセスを共有できる状態を作ることです。例えば、ショート動画であれば、冒頭で離脱が起きた理由、コメントが伸びた背景、次回に試す仮説を簡単に記録するだけでも、運用は安定します。アルゴリズムは見えなくても、ユーザー行動の傾向は蓄積できます。この判断の蓄積こそが、内製化の最大の資産になります。
内製と外部支援の役割分担をあらかじめ決める
三つ目は、すべてを内製で完結させようとしないことです。企画、撮影、編集、分析、リスク管理のすべてを社内で担うのは現実的ではありません。内製化に成功している企業ほど、どこを自社で判断し、どこを外部に委ねるかを明確にしています。
例えば、日常の投稿運用やコメント対応は内製で行い、月次の振り返りやアルゴリズム変化への対応、炎上リスクを含むガイドライン整備は外部の知見を活用するといった形です。発信スピードを保ちつつ、安全性と客観性を担保するためには、外部視点を定期的に取り入れる設計が不可欠です。内製化とは、閉じた運用ではなく、主導権を自社に持つ運用だと言えます。
まとめ
SNS内製化を成功させるために重要なのは、開始前の設計です。
・運用目的を成果指標まで具体化し、判断基準を明確にすること。
・属人化を防ぐため、改善の考え方をチームで共有すること。
・内製と外部支援の役割分担を決め、変化に対応できる体制を作ること。
まずは現在のSNS運用を振り返り、どの判断を自社で持ちたいのかを書き出してみてください。それが、内製化を単なる作業移管で終わらせないための第一歩になります。


















